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転落の女王(目次)
前のページ(第三話・鞭の洗礼)

第四話・屈服したサラ女王

 アマンダが残酷な笑みを浮かべながら鞭を構えた。
「ん! んーっ!」
 サラは必死の形相でアマンダに慈悲を求めるが、それが伝わっているのかいないのか、まるで気にすることなくアマンダは鞭を振り下ろす。
「んぐうっ!」
 強烈な一撃がサラの胸に直撃した。衣服の胸元部分が弾け飛び、控えめな乳房が露出する。
 それを見ていたリース公が、眉間に皺を寄せて苦々しく呟いた。
「微乳、か……」
 公爵は巨乳派のようだった。
「さあ、全身を打ちのめして差し上げますわ、お姉様! 精神崩壊しなかったら褒めて差し上げます!」
 アマンダは数々の奴隷を泣かせてきた熟練の動きで手首のスナップを利かせ、連続で鞭を振るった。その正確な軌道は、サラの服装を次々に削り取っていく。
 サラは、アマンダが鞭を使って自分を全裸にするまで打ち続ける気だと悟り、気が狂いそうになった。自分の予想が正しければ、まだ鞭打ちは十発以上は続くだろう。
「むぐうーっ!」
 わき腹に鞭を叩きつけられ、悲痛な呻き声を上げる。いつの間にか、目から涙が溢れていた。口に押し込められている布のせいで泣き叫ぶことすら叶わず、身体中の激痛に悶絶する。
「ん、ぐう……」
 鞭が止められても、サラは鞭痕からの断続的に続く痛みに呻いていた。
 既に立っていることが出来なくなり、全体重を手首に繋がっている鎖に預けている。手首に硬い鉄の鎖が食い込み、尋常ではない激痛が襲ってくるが、どうすることも出来なかった。骨がどうにかなっているかもしれなかったが、体に力が入らないのだ。
 アマンダに髪を掴まれ、サラは顔を上向きにさせられた。アマンダが至近距離で上から見下ろしてくる。
「おや? どうされました? お姉様、ご気分でも優れませんか?」
 皮肉を言われても怒りは沸いてこなかった。そんなことよりも、喋れない状態でどうやってアマンダに忠誠を示せばいいのか、サラはそのことだけを夢中になって考えていた。
 とにかくも言いたいことがあるという想いを伝えるために、声だけでも出してみる。
「んんっ。んんんーっ」
「……ふむ。また『私は屈しないわ』ですか?」
 サラは慌ててブンブンと首を振った。
「んんん! んーっ!」
「……ふむふむ。『あなたの鞭はヌル過ぎなのよ、この豚!』ですか? 申し訳ありません、お姉様。なお一層努力しますわ」
 ボロボロと涙を流しながらサラはかぶりを振った。何故伝わらないのか、何故分かってくれないのか、もどかしくて悔し涙が溢れてくる。
 アマンダが分かった上でトボけているなどという考えに至ることが出来ないほど、サラは精神的に追い詰められていた。
「ふふ」
 アマンダがサラの髪を離して再び距離を取る。サラは離れていくアマンダを呆然と見つめながら、これから再開されるだろう鞭打ちに恐れおののいていた。
 女王の座も、奴隷制度の廃止も、この王国の未来も、今となってはどうでもよかった。この苦しみから逃れられるのなら、国の一つや二つ、いくら差し出しても良い。だがそれすらも叶わない。自分の全てを投げ打ってもどうにもならないという現実に、サラは絶望感から目まいがした。

 アマンダが鞭を振るい、再び地獄が始まった。
 左肩を打ちのめされ、サラは顔を歪めて「んーっ」と呻いた後、燃える上がるような痛みに歯を食い縛った。口に押し込められた布を噛み締めると、苦く不快な味が口中に拡がったが、激痛の前にはそれほど気にはならなかった。
「んぐぅっ!」
 続いて右肩に鞭を叩きつけられると、サラの上半身の衣服が支えを失い崩れ落ちていった。白く肌理細やかな肌が露わになる。神聖不可侵の偶像であるはずの女王の身体には、幾筋もの鞭の痕が刻み込まれていた。
 アマンダはさらに容赦なく股にも狙いを付ける。
 既に太ももを鞭で打たれており、下半身にはウエストから太腿の付け根辺りに申し訳程度にスカートが残っているだけだった。
 そのスカートも、サラの股間に何度も鞭打ちが決まり、ボロボロになって遂にはスルスルと足元にずり落ちていく。
 下腹部が晒され、サラは顔を赤らめた。湯浴みをする時、侍女に裸身を晒して肌の手入れをさせることは日常茶飯事だったが、唾棄すべきリース公爵の見ている前で全裸にされることは屈辱の極みだった。
「あら。いけませんわ、お姉様。この家の奴隷は下の毛など生やしていてはいけませんのよ? ちゃんと剃っていないとだめじゃないですか」
「んんっ。んんっ」
 アマンダのその言葉に、サラは大袈裟なくらいにコクコクと頷いた。
「おや? ひょっとして何か良いたいことでもあるんですか?」
 やっと話を聞いてくれそうな雰囲気になり、安堵のあまりサラの目から涙が零れ落ちる。
「お姉さまの口から布を取って差し上げなさい」
 アマンダが奴隷にそう指示すると、サラは歓喜に振るえながら咽び泣いた。やっと自分を裏切り陥れた妹に忠誠を誓って、鞭打ちから逃れることができるのだ。
 サラは布を取り除かれると間髪いれずに口を開いた。
「ア、アマンダ……アマンダ様! お慈悲を、お慈悲を下さい!」
 アマンダが近寄ってきて、サラは鞭の柄で顎を突き上げられ上を向かされる。勝ち誇りながら涙に濡れたサラの顔を覗き込むアマンダに対して、女王サラは卑屈に表情を歪めて必死に自分を裏切った妹に許しを求めた。
「お願いします、アマンダ様。どうか鞭だけはお許し下さい。手も……鎖を外してください。手首が痛くて……。お願いします。お許し下さい、アマンダ様」
「あは、あはは。あはははは!」
 凛々しかった姉が泣きながら哀願する姿が、アマンダには可笑しくて仕方が無いようだった。
「お姉様! それでもプロビオン王国を統べる女王なんですか!? 女王としての実績と誇りはどこへ行ってしまわれたのですか!?」
「…………」
 罵倒されて、サラは少しだけ我に返る。
 ……そうだ。自分は歴史に名を残す偉大な女王になるはずではなかったのか。奴隷廃止を始めとする数々の社会制度の変革。これだけでも偉業として後世に称えられるだろう。そして、まだ腹心の家臣にしか打ち明けていないが、サラはプロビオン王国による大陸統一すらも視野に入れていた。
 当初は絵空事で終わることも覚悟していたが、王位を継承してから一年近く経ち、自分の並外れた政治力を自覚するにつれ、大陸統一も決して夢物語ではないと思えるようになってきていた。
 リース公爵家の対処など、いずれ至る道程へのほんの一段階に過ぎないはずだった。
(それなのに、こんなところで私は一体なにをしているの……?)
 覇道を突き進んでいる途中でいつの間にか谷底へと転落していた現状に愕然としていると、アマンダに鞭の柄で顎をグイグイと突っつかれた。サラの思考はすぐにまた苦痛への怯えに切り替わる。
「あ、あああ」
「どうなんですか!? 恥ずかしくないのですか!? サラ女王陛下!」
「わ、私は、女王じゃありません。ど、奴隷です。アマンダ様の奴隷です」
 その言葉はサラが自分で予想していたよりも抵抗なく口にすることができた。むしろ、ちゃんと言葉にすることが出来て安堵しているくらいだった。これで鞭打ちをやめてもらえる、とサラは媚びるように泣き笑いのような表情になった。
「そうですか。お姉様はわたくしの奴隷なんですか。でもわたくしはそんなこと許可した覚えはありませんわよ?」
「ア、アマンダ様。私をアマンダ様の奴隷にしてください。お願いします」
「そこまで言うなら奴隷にして差し上げますわ、お姉様。ああ、もうお姉様は奴隷なんだから、お姉様って呼ぶのは可笑しいですわね。そうよね、サラ?」
「……は、はい」
「いま微妙に間が空かなかった?」
「い、いえ! 空いてません。アマンダ様、奴隷にしていただきありがとうございます」
 アマンダを怒らせてはならないと、サラは慌てて反応した。
「ふふ。お姉様は――じゃなくて、サラは可愛いね。そうやって良い奴隷になるのよ?」
「は、はい」
「じゃあご褒美に鞭を打ってあげるわ」
「え? いや……え? あの、今なんと仰いました?」
 サラは聞き違いかと思って尋ねた。
「だから、おまえに鞭を打ってあげると言ったのよ。奴隷なんだから当たり前でしょう?」
「あ、あの、でも、奴隷として忠誠を誓えば鞭はやめてくれると……」
「わたくしは『とりあえず』と言ったはずよ。お姉様――じゃなくてサラ、取り乱していてちゃんと聞いていなかったんじゃないの」
「そ、そんなっ!」
 最初からアマンダはそのつもりだったのだと悟り、サラはいきりたってアマンダを睨み付けた。
 アマンダは眉をピクッと引く付かせて、サラの頬を平手打ちして声を上げた。
「無礼な! 奴隷の分際で第一王位継承者のわたくしを睨みつけるとは!」
 もう片方の頬も張り飛ばされた。アマンダが鞭を握り締めるのを見て、サラは震え上がって謝罪の言葉を口にする。
「アマンダ様、申し訳ありませんでした。お許し下さい」
「最初からそうしていればいいのよ! このグズ!」
「も、申し訳ありません」
 アマンダは、うな垂れているサラの後方に回り込んで鞭を構えた。
 度重なる激痛に脂汗をたっぷりと掻いたサラの背中には、千切れ飛んだ衣服の残りが所々に張り付いていた。それらをアマンダは鞭で狙いを付けて叩き落していく。
「ああっ! い、痛い、痛いっ」
 サラは強烈な鞭打ちに泣きながら痛みを訴える。
「それでも元女王なの!? いつもの毅然とした態度はどこへ行ったの!?」
 最後にひと際強く背中を打たれる。
「ぎゃああっ! あ、あう。申し訳ありません。お許し下さい、アマンダ様」
 さめざめと泣いて謝るサラには、もはや女王としての面影など皆無だった。
 そんなサラの様子に気を良くしたアマンダは、奴隷達に鍵を投げ渡し、サラの手首を拘束している鎖を外させた。
 鎖に体重を預けて前のめりになっていたサラは、そのまま地面にドサッと倒れ込む。体力的にも精神的にも限界を超えており、サラは地面に突っ伏したままの状態で気を失った。
 次に目が覚めたときには更なる地獄が待ち受けているとも知らず、サラは深い眠りの底へと落ちていった。
母娘の檻・地獄の始まり

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