第十二話・<香織編>対峙その2

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「下僕になるのはおめえだよ、九条香澄」
 なるべく香織がビビるように、伸二は無表情になり声を低くして言った。
「うん?」
 しかし香織は全く動じる様子がなかった。
「だから、下僕になるのは君だってば、伸二君」
 動じるどころか、まだ下僕の話を引っ張るつもりのようだった。
「……いや、ちょっと待て。明らかに今の俺、雰囲気変わってただろ? どう見てもドスを効かせて脅しに掛かってただろ? 空気を読めよ」
「空気が読めていないのは君の方だよ。私は、分かった上で言ってるの」
「…………」
 香織が敵意の篭もった好戦的な瞳を向けていることに、伸二は今更ながら気が付いた。
 その目を見て、伸二は愕然とする。同じだった。さっきまでバカ話をしていた時の香織の瞳は、今のそれと全く同じだった。つまりは、香織は最初から伸二と対峙するつもりだったということになる。
 香澄と共通する冷酷非情な性格に感づいていたはずなのに、ニコニコと楽しそうに笑う香織の様子にすっかり霞んでしまっていたのだ。
 そしてそれこそが、香織の意図するところなのだろう。今、香織が豹変したかのように感じてしまったことで、意表を突かれた形になった伸二は、精神的に大きく動揺していた。これでは香織の思い通りだと分かっていても、香織に対して畏怖に近いモノを抱いてしまった心は、そう簡単には立ち直れそうになかった。
「君さ、不細工で頭も悪そうだけど、少しは面白い子だなって思ったから下僕として飼ってあげようとしたのに、断るどころか私に牙を向くなんて、良い度胸してるじゃない」
 香織は腰掛けていた机から降りて、伸二に一歩だけ近づいた。
 数メートルの距離で向かい合っただけで、伸二は強烈な圧迫感に息を呑んだ。
「ちょっとは身の程を弁えた方がいいんじゃない?」
「ふ、ふざっけんな! お、俺には切り札があるんだぞ! あ、ちがう、あるんです! あ、ああ、ちがってなかった。あるんだぞ!」
 完全に動揺している伸二を、香織は冷たく見据えていた。
 伸二は震える手つきでポケットからデジカメを取り出して、慌ただしく画面を香織に向けた。一瞬迷った後、再生ボタンを押す。
「…………」
 面倒臭そうにデジカメを見た香織は、そのまましばらく無言で画面に見入っていた。
 伸二は香澄の時と同様に、香織が無様に醜態を晒すのを期待していたが、彼女は十秒近く映像を見た後、伸二に視線を戻して、楽しそうに笑って「へえ……」と呟いた。
 それだけで伸二は負けを確信する。こいつにだけは勝てない、と思ってしまった。きっとこれから、自分は簡単に丸め込まれて、それこそ泣いて土下座して香織の足の指を舐めながら許しを請うことになるだろう。
 盗撮をした上に脅迫までしておいて、今更そんなことで許してもらえるとは思えず、伸二はこれからの自分の処遇を考えて震え上がった。
 いよいよ香織が伸二を落とそうと口を開きかけた時、横から今まで黙り込んでいた香澄が話に割り込んできた。
「すとっぷ、お姉ちゃん。一言でも喋れば、伸二先輩の持っている盗撮映像をネットにばら撒くよ」
 香澄はそう言って、伸二の隣に移動して香織と対峙する形を取った。
「…………」
 言われた通りに香織は黙り込んだが、その目は全く死んでいなかった。機会を窺うために、とりあえず今のところ様子見をしているだけなのは明らかだった。
 香澄は一方的に話を続ける。
「もう状況は把握できてると思うけど、私もお姉ちゃんの敵側だから」
「……」
「下僕になるのはお姉ちゃんの方だよ」
「……」
「……」
 何故か香澄も沈黙し、教室内に静寂が訪れた。
 香織の敵意がビシビシと届き、伸二は気が気ではなかったが、香澄はいつもの何を考えているのかよく分からない無表情のまま、黙って立っていた。

 沈黙を破ったのは、香織が膝から崩れ落ちる音だった。床に座り込んで、苦しそうに荒い息を吐く香織を見て、香澄は勝利を確信し、伸二に向かって言った。
「終わりました」
「え……なにが? ていうか、なんだこれ?」
「仕込んでおいた睡眠薬がようやく効いてきたようです。あとはお好きなように」
「……マジ?」
 呆気に取られる伸二に、香澄は平然と頷いた。
(こんな簡単に、この女が落ちたのか? 本当に?)
 半信半疑で伸二は一歩、二歩と香織に近づいて行った。
 香織は伸二を睨みつけながら、必死に強烈な眠気と戦っているようだった。
 手の届く範囲まで伸二が近づくと、香織は弾かれるようにいきなりドアに向かって走り出した。だが直後、先程まで香織自身が座っていた机に正面から衝突し、中に詰め込まれていた文房具をぶち撒けながら机と共に倒れ込む。
 あまりにも無様なその姿に、伸二は失望を感じざるを得なかった。九条香織も追い詰められれば所詮はただの女子高生なのか、と伸二は思った。
 香織はなかなか起き上がらなかった。倒れた机のせいで香織の体の大部分が死角になっていたので、伸二は回りこんで香織を捕らえようとした。伸ばした手が香織の肩先に触れそうになった時、香織が振り向き様に手を振った。
 腕に鋭い痛みを感じ、伸二は反射的に手を引っ込めた。慌てて腕を見ると、軽く切り傷が出来ており、薄く血が滲んでいた。
「お、おめえ……」
 怒りに震えて香織に視線を向けると、伸二はあまりの光景に絶句した。
 香織はハサミを手に取り、自らの手首を切ってその痛みで目を覚ましていたのだ。腕から血を流しながら、香織は立ち上がってハサミを伸二に向ける。
「今日のところはこれで見逃してあげるわ。そこを退きなさい、下郎」
「最初からそれが目的で机に体当たりしたって言うのか……? バ、バカか……。い、いくら手首だからって、そんなに切ったりしたら、死んだっておかしくねえだろうが……」
「あんたみたいな無能なクズの下僕になるくらいなら、死んだ方がマシよ」
 底冷えのする声でそう言う香織に、伸二は腰を抜かして尻餅を着いた。恐る恐る見上げると、血を流しながら凶器を突きつけ、怒りに燃えて睨みつけてくる香織と目が合った。
(ば、化け物だ! こいつは、こいつだけは本当の本当に化け物だ!)
 伸二は目を見開いて歯をガチガチと鳴らしていた。
 恐怖に竦む伸二の姿を見て、香織は苛立ちを抑えきれないと言わんばかりに唇を噛み締めた。
「……伸二、あんた、この私に手を出そうとしたっていうのに、その無価値な命すら賭ける覚悟もないっていうの?」
 伸二は涙ぐんで困惑することしかできなかった。
「どうしようもないゴミだね、あんたは。もう下僕としてすら必要ない」
 ハサミを持っている香織の手に力が篭もったのを、伸二はなんとなく感じ取った。あるいは香織がわざとらしくそうしたのかも知れなかった。
「た、助け……ひっ」
 香織がハサミを振り上げたのを見て、伸二は顔を逸らして無意識にガードしようと手を挙げた。
 幸いなことに、目を瞑って怯えていても、いつまで経っても凶器が振り下ろされることはなかった。
 目を開けて伸二は香織の様子を窺った。
 香織はプルプルと震えながら苦痛に顔を歪めていた。香織の腹から「ぐぎゅうー」と音が鳴り、その手からハサミが滑り落ちる。
 腹を押さえて香織は再び膝を折った。出血のためか腹痛のためか、顔が蒼褪めていた。
「う、ぐ……」
 蹲って苦痛に喘ぐ香織に、静観していた香澄が言葉をかける。
「下剤の味はどう? お姉ちゃん。強力な下剤というのは、人によってはこの世のものとは思えない痛みを伴うらしいけど」
「か、香澄……はあうっ」
「刺激の強い即効性の下剤だと気付かれるかも知れないと思って、遅効性の下剤にしたの。でも、それだといつ効果が出るか正確には分からないでしょう? だから、即効性の睡眠薬も混ぜておいたの。睡眠薬は予想通りお姉ちゃんには通用しなかったけど、出血のせいで下剤作用を誘発したし、ちゃんと意味はあったでしょう?」
「う、うう……。さ、最初からあんたの掌の上だったってわけ?」
「そんなことないよ。まさかハサミを振り回すとは思わなかったし。せいぜい窓ガラスでも使うのかな、と思ってたんだけど、窓までちょっと距離があったから一番近い机に向かったんだよね? さすがはお姉ちゃん、機転が利くよね」
「はあ……はあ……ひ、皮肉にしか聞こえないわ……」
「うん、皮肉だし」
 涼しい顔をして自分の姉を見下している香澄に、伸二は寒気を覚えた。香澄の本性を垣間見るのは久しぶりだ。自分がいかに薄氷の上を渡り歩いてきたのかを、今更ながらに痛感する想いだった。
「伸二先輩。今度こそ、終わりました」
「あ、ああ」
 悪びれずに報告する香澄に対して、伸二は頷くことしかできなかった。ほとんど自分は囮にされたようなものだが、文句を言う気にはなれない。醜態を見せた後にそんなことを言っても、情けなくなるだけなのは目に見えていた。
 イラついてはいるが、しかしその苛立ちは香織に向けるしかなかった。
 散々梃子摺らせてくれた九条香織。いま彼女が腹痛にのた打ち回っている姿を見ても、少しも優越感は沸いてこなかった。勝利の手応えも、征服感も皆無だ。香織に対する怒りだけが、ただひたすらに湧き上がってくる。
「ああ、ちくしょうっ!」
 伸二は怒りに任せて立ち上がった。
 嫌と言うほど憎たらしい口を叩かれたこと。ハサミで切りつけられたこと。無様に命乞いをしてしまったこと。殺されかけたこと。あまりにも屈辱的なことが多すぎた。
「てめえ、くそっ! なめやがって! くそが!」
 勢いをつけて香織の腹に蹴りを入れる。
「があっ! あ、ああ……」
 香織は無残な叫び声を上げて苦痛に耐えることしか出来なかった。
「くそ! 俺の怒りはこんなもんじゃ収まらねえんだよ! てめえは徹底的に犯してやるっ! 土下座して侘び入れたとしても絶対に許さねえ! 女に生まれてきたことを後悔させてやるぞっ!」
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