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魔法少女あすか(目次)



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第二話・人を見た目で判断してはいけません


 魔法界。そこは実際に目にすると、今まで暮らしていた人間界と大して違っているようには見えなかった。緑豊かな自然の中にポツポツと家が立っている風景なんて、ただの日本の田舎にある有り触れた風景だとしか思えない。動植物は言うに及ばず、建物や道路まで日本の物とほとんど変わらなかった。
 だが、生い茂る木々の間にポツンと建っている一軒屋に連れられると、明日香はやはりここは異世界なのだと実感させられた。外観からは小さな平屋にしか見えなかったのに、中に入ると広々とした空間に出迎えられたのだ。床や柱は外観そのままに木造なのだが、それが見渡す限りどこまでも続いているのである。
 明日香をここまでお姫様抱っこして連れてきた男は、建物に入って数歩進んだところで、無造作に明日香を床に放り投げた。
「い、痛いですっ。何をするんですか!?」
 明日香は倒れた体を起こして四つん這いになり、強かに打ち付けた尻を撫でさすりながら涙目で男を見上げた。
「よく私みたいな美少女をそんな乱暴に扱えますね!」
「誰が美少女だよ、誰が」
「何を言っているんですか? リリスさんには眩し過ぎて、私の愛くるしい顔が見えないのですか?」
「俺、ガキには興味ねえんだわ。そういう戯言は、せめて下の毛が生え揃ってから言えよ」
「それくらいもう生えてます! 最近はお尻の穴の周りにまで生え始めて悩んでるくらいです!」
「……え? マジで? ガキみてえな顔してケツ毛なんて生えてんのかよ」
「あ、あうっ! な、何を言わせるんですか!?」
「毛が生え揃っていたとしても、オッパイがそんなに小さくちゃな……お前は守備範囲外だ」
「胸ですか! やっぱり男の子は大きい胸が好きなんですか!」
「当たり前だろう? 巨乳は男のロマンだ」
「むうぅ……」
 明日香はセーラー服の上から二つの胸の膨らみを掌で押さえた。確かにクラスメートと比べると小さいけれど、まだまだ成長の余地はあるはずだ。
 それを主張しようと口を開きかけた時、いきなり横から声を掛けられる。
「美少女だのケツ毛だの巨乳だの、人の家の玄関でアホな話をしてんじゃねえよ」
 あどけない幼女の声だった。明日香がその声のした辺りを振り返ると、いつの間にかすぐ近くに小さな女の子が立っていた。
 白いワンピースに身を包んでいる少女は、ぽってりした瑞々しい頬を緩め、愛くるしい笑顔を浮かべていた。後頭部で高く束ねられた長い髪は、幼い身体の足元近くまで伸びている。その髪は透き通るように綺麗な蒼色で、女の明日香でさえも目を奪われるほど鮮やかな輝きを放っていた。
「おい、リリス。とりあえずてめえはもう用なしだから、さっさと消え失せろ」
 目の前の可愛らしい少女の口から、薄汚い言葉が飛び出した。
 天使のような笑みを全く崩さずにそんなことを言うものだから、明日香の思考回路に齟齬が発生して軽く混乱に陥った。可憐な女の子の笑顔と乱暴な口調が脳内で一致せず、上手く認識できなかったのだ。テレビを見ていたらいきなり副音声に切り替わってしまったかのような違和感があった。
 目をパチクリさせている明日香の横で、リリスが鬱陶しそうに口を開く。
「あー、はいはい。俺だって、お前の顔なんか見ていたくねえからな。ノルマは果たしたことだし、帰らせてもらうぜ」
「え? あの、ちょっと、リリスさん……」
 置いていかれそうになり、明日香が慌てて立ち上がる。
「んだよ? 俺と別れるのが名残惜しくなったのか?」
「そういう訳では全くないんですが、いくら貴方が最低のクズでもいないよりはマシと言いますか……こんなところで知ってる人が誰もいなくなるのはちょっと不安なんですけど」
「今自然に最低のクズとか言わなかったか?」
「ん? そんなこと言いましたっけ? 言ったとしても無意識のことですから気にしないで下さい」
「余計気にするわ!」
「そんなことはどうでもいいんです。私は困っているんですけど?」
「困っているんですけど? って言われても、そんなこと俺は知りませんけど?」
「うざいです。死ねばいいのに」
「そこまで言うか……」
「そんなことより、いったい私はこれからどうすればいいんですか?」
「今後のことは最長老に聞けよ。俺はお前を拉致ってくるのが仕事だったから、その後のことは知らん」
「いま拉致って言いましたね?」
「さあ? 何のことだ?」
「またそうやってトボけるんですか。まさか、そこの可愛い女の子も貴方が拉致ってきたわけじゃないですよね?」
「アホか。そこにいる糞ガキが最長老だぞ」
「へ?」
 明日香が思わず振り返って見直すと、最長老と言われた少女は妖精のような微笑みをリリスに向けていた。その少女の口から汚い言葉が放たれる。
「いま糞ガキって言ったな?」
「さあ? 何のことだ?」
「またそうやってトボけるんだな。まさか、そこの可愛い女子中学生も貴様が拉致ってきたんじゃねえだろうな?」 「お前がやれって言ったんだろうが!」
「何でもいいから、さっさと消え失せろっつってんだろ。あと三秒でアタシの視界から消えないと殺すぞ」
 少女はニッコリと笑ったまま指先をリリスに向けた。
「くっ!」
 少女の指先が光り始めると、リリスは脇目も振らずに背を向けて、全速力で玄関を飛び出していった。
「ふん、一応は身の程を弁えているか。逃げ出すのだからまだ可愛いものだ。半殺しにするのは今度にしてやるか」
 恐ろしいことを呟きながら、少女が明日香に微笑を向ける。
「貴様もあのバカには酷い目に合わされたんじゃないか?」
「あ、いえ……えっと……」
「まあアタシが命じたわけだが」
「…………」
 明日香は、この少女にどう反応すればいいのか咄嗟には判断出来なかった。最長老として扱うか、年下の少女として扱うか。明日香は迷った末にぴょこんと頭を下げた。
「あの、最長老様、こ、こんにちはですっ」
 少女がどれくらい偉いのか明日香にはよく分からなかったが、とにかく腰を低くしておくことに越したことはないだろう。今さっき一瞬だけ垣間見た少女の魔力は、自分を吹っ飛ばしたリリスすらを遥かに上回っていた。あまり怒らせるようなことは避けた方が良さそうだ。
 顔を上げて少女を見ると、彼女は可笑しそうにクスクスと笑っていた。その笑い声だけは外見相応に可愛らしい。が、再び開かれた口から出てくる言葉は荒れ放題だった。
「そんなに畏まらなくてもいいぞ。リリスみたいにナメた態度を取ったりしなければ、貴様を半殺しにしたりしねえよ」
「………………はい」
「ところで、リリスってあだ名はアタシが付けてやったんだが、貴様はどう思う?」
「え? えっと……」
「いや、はっきり言っていいんだぜ? 似合ってねえよな。嫌がらせで付けてやったんだが、あのバカは妙に気に入ってんだよ。鬱陶しいよなあ」
「は、はあ……」
 ニコニコ顔でそんなことを言われても、明日香としては曖昧に頷くしかない。
「あの……そういえば、最長老様って――」
「アタシのことはルリって呼んでいいぞ。っていうか呼べ。老人呼ばわりされて喜ぶ女はいねえだろ?」
「あ、はい。えっと、ロリさん?」
「ルリだっ!」
「す、すみません……。でも、その、ルリさんっておいくつなんですか?」
「んなことより、奥へ入れよ。話がある」
 ルリは背を向けて歩き出した。明日香よりもずっと背の低い少女が、ポニーテールを揺らしてトコトコ歩いている後ろ姿は、抱き締めたくなるほどの可愛らしさに溢れていた。不意に足を止めて振り返ったルリの顔も、純粋無垢を体現したかのように愛らしい。
「何をしている? さっさと付いて来い。グズグズしていたら殺すぞ」
「は、はいっ」
 満面の笑みを浮かべたルリに急かされ、明日香は慌てて後を追って歩き出した。



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